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昨年末NHKで「坂の上の雲」という連続ドラマをやっていました。これは3部作で昨年一部、今年末に二部、来年末に三部をやると聞いています。原作は司馬遼太郎で、私も読んだことがあります。
主人公は愛媛で生まれ育った軍人の秋山好古/真之兄弟と俳人の正岡子規です。明治期の話で、彼らを含めた当時の日本人の活躍ぶりを(多少誇張して)描いた作品です。クライマックスは日本海海戦です。そこで連合艦隊が勝って物語はおしまい。個人的にはその戦いに至るまでの、バルティック艦隊の乗組員の描写が心に残っています。 朝刊にその後の秋山好古の行く末に関する記事がありました。彼は愛媛に戻り、中学校の校長先生をしたそうです。彼のような陸軍将校上がりが校長をやるのは異例のことだったそうですが、それは彼が、日本の将来を考えた時中等教育の充実が重要と考えたからとあります。中堅階級にしっかりした人材がいなと国はなりたたん、と考えていたとか。まあそれはそうかもしれません。 研究にもあてはまりますかね。一部のスター研究者ばっかり優遇すると、他の研究はじり貧です。すると国の研究レベルも下がってしまうのではないでしょうか。全体として高いレベルを保つのが大事ではないでしょうか。 ■
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by stemcell
| 2010-01-30 17:12
昨日ジーンシモンズが亡くなった、という新聞記事を見かけました。どうも英国の大女優のようです(私は個人的にまったくしりません)。しかしカタカナで書いてあったのでロックバンドKISSのボーカリストかと見間違えました。同性同名ですかね。ジーンという名は女性にも男性にも使うのでしょうか。
KISSは70年代に活躍した有名なロックバンドです。代表曲はデトロイトロックシティー。数年前にあった邦画デトロイトメタルシティーはこの曲をもじったものです。KISSの元メンバー(たしかジーンシモンズ本人)も出ていたはずです。 彼らが聖飢魔Ⅱのようなメークをしていたころは私はまた小学校に入ったくらいでしたので、さすがにリアルタイムでは見ていません。中学生の頃に活動を再開しましたが、その時のアルバムはよく憶えています。クレイジーナイトといったかな。懐かしい。その時はメークはしていませんでした。 KISSのメンバーは、舌をよく出せるように(実際ステージ上ではべろべろ舌を出すのです)舌の裏の付け根部分を切る、という話を当時の音楽雑誌で読んだ記憶があります。ほんとでしょうか。ちょっと気持ち悪い。。。 ■
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by stemcell
| 2010-01-25 22:40
前回、ウエスタンというタイトルで書き込みをしました。このタイトルがよくわからなかった人のために補足をしようと思います。
予想はつくと思いますが、これはある生物学的実験操作のことです。具体的には、特定のタンパク質を認識する抗体を用いて、混じり合ったタンパク質の中からそのタンパク質だけを検出する方法のことです。その特定のタンパク質があるかないかを調べたり、そのタンパク質の量を測定することもあります。インフルエンザの検査もこのウエスタンの原理を利用しています。つまり、鼻に突っ込んだ綿棒をインフルエンザが持っているタンパク質を特異的に認識する抗体で処理しているのです。反応があればそのタンパク質がある、つまりインフルエンザに感染している、というわけです。なのでこの方法はほとんど抗体の特異性が全てです。そこをちゃんと調べずに実験していると、前回の書き込みのようにとんでもないことになるのです。 なぜウエスタンというか。これは(私の記憶では)以下のような理由です。 その昔、いろいろな種類のDNA分子から特定のDNAだけを検出する方法をサザンという人が思いつき、世に広めました。この方法はその後”サザン”と呼ばれ広く行われる実験手法となりました。 サザン法は混じり合ったRNA分子から特定のRNAだけを検出する方法にも応用できます。そこでRNAの検出とDNAの検出を分けて表現できるように、RNAの検出をサザン(南方)の逆でノザン(北方)と呼ぶようになりました。まあシャレですね。 その後、サザン(もしくはノザン)の方法の一部をちょっと改変して、タンパク質の検出を行う方法が考案されました。これをサザン/ノザンに続いてウエスタン(西方)と呼ぶようになったのです。 その後ウエスタンの方法を改変して、タンパク質相互作用を調べる実験が考案されました。それはウエストウエスタンと呼ばれています。検出法はウエスタンと基本的に変わらないので、まあうまく実験法を表現していると思います。 イースタンという方法はまだありません。だれかそう名付けられるだけの実験手法を考えつけばよいのですけれどね。 ちなみに論文で"サザン"と書くときは、人名なので最初が大文字(S)です。ところがノザンまたはウエスタンと書く場合は、これはただのシャレなので大文字にはなりません(と15年前習いました)。しかし2年前アクセプトされた後の論文の校閲でウエスタンの最初の文字が大文字(W)にされていたことがありました。理屈から言えば大文字にならないと思うのですがどうなのでしょう。わかる人いたら教えてください。 ■
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by stemcell
| 2010-01-22 21:32
知り合いの研究者が数年前論文でウエスタンのデータを発表しました。間近で実験を見ていた私はその抗体の特異性にかなり疑問を持っていました。しかもその論文で発表されているウエスタンのデータは、その論文のコアの部分となっています。
具体的にはストレス処理である代謝物は変化するが、その合成に関わる酵素の細胞内の存在量は変わらない、ということをそのウエスタンのデータで示しています。つまり、代謝量が変わるのはその酵素をコードする遺伝子の転写/翻訳段階での制御ではない、ということを主張しており、その論文のタイトルにもなっています。 その抗体の検定はかなりいい加減なものでした。というかほとんど特異性の検定を行っていません。目的のタンパク質の一次構造から予想される分子量とかなり異なる大きさのバンドが検出されているにも関わらず、そのバンドをそれと主張して論文にしてしまったのです。たしかにSDS-PAGEでは稀に予想分子量と異なる部分にバンドが出てきたりしますが、大腸菌で発現した場合は予想分子量に出ていたので、そもそもかなり疑問だったのです。ネイティブの細胞内では修飾される可能性なんかもありますが、その場合、予想より大きい位置にバンドが出るので、予想よりもかなり低い位置に出た今回の理由にはなりません。指導的立場の研究者も素知らぬ顔でその論文の投稿に賛同していました。お互い業績が欲しかったのでしょうか。 最近になってその酵素を欠損した変異体がとられ、その抗体でウエスタンをすると、やはりというべきか変異体でもばっちりバンドが検出されました。でも博士取得者であるその研究者はまったく素知らぬ顔です。論文で発表したデータのことに知ってかしらずか触れません。どうするのでしょう。今その変異体で実験をしているのは若い大学院生です。彼への影響を考えるとまったく暗い気持ちになります。私はその論文をリトラクトするしかないと思うのですが・・さもないとその大学院生の論文は投稿できません。 研究を指導する立場の人間はだれよりも自分たちのデータを批判的に見る必要があります。少しでも矛盾や怪しい部分があったら論文にしてはいけないのです。今回のことはあってはならないことだったと強く思います。 ■
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| 2010-01-18 21:16
実験科学者たるもの、新しい研究手法をどん欲に取り入れる必要がある、という話を以前書きました(2年ほど前と思い以前の記事を探しましたが見つかりませんでした)。最近遺伝子のクローニングを組換え酵素で行う新しい手法が出たというので、試しに行ってみました。一年ほど前から噂では聞いていましたが、今回ようやく使ってみる機会に恵まれました。
それはIn fusionというシステムで、PCRでDNAを増やす時に両末端に15bpのベクター側と相同な配列を付加するようにします。そしてPCR断片、一本鎖のベクター、組換え酵素の3つを混ぜるとその部分で組換えが起こり、目的の環状プラスミドクローンが出来上がる、という手筈です。 結果は良好です。DNAをくっつけるライゲースを使わないのでバックグラウンドも低いです。なかなかよいシステムで今後結構な頻度で使いそうです。特に3つのDNA断片を同時に制限酵素無しでくっつけるのに有効でした。でもまだ値ははるので毎回というわけには行きませんが。 ■
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| 2010-01-14 21:10
週末今もらっている研究費の研究報告会がありました。研究費の関係上その会は生物、化学、物理系の研究者が7人ずつくらい集まった集団です。従って自分の(生物学的な)研究をその会場の人達にわかってもらうためには相当の努力が必要です。しかも発表時間は10分しかなくかつ英語です。物理系の人にもわかってもらうよう私なりに頑張ってスライドを作成しました。
しかし懇親会で話を聞いてみると私の話はまったくわからなかったとのこと。詳しく聞いてみるとDNAはどういうものかわかる、しかしRNAになるともうわからない、という人が物理系の研究者はかなりいることがわかりました。そのような人に研究の意義や重要性をわかってもらうのは至難の業です。次回もあるのでもう少し工夫しようとは思いますが、ほとんどあきらめモードです。 逆に化学や物理の発表内容はほとんどわかりませんでした。もう少しなんとかしてくれと思うのですが、向こうもいっぱいいっぱいなのでしょうね・・ ■
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| 2010-01-10 18:53
今日が仕事始めでした。実験も再開ですが、授業の準備等もあり新年早々忙しくしていました。今年は他の研究室の学生のドクター論文の審査もありその論文も少し読まなくてはいけません。今いる大学では博士審査会は発表45分、質疑45分です。結構質疑が長いですよね。
といっても日本の大学院の場合、発表会まで進んでいればその発表に多少問題があったとしてもそうそうと博士論文は却下されません。だいたいは直接の指導教員に気を使って厳しいことはあまり質問に出ないのです。以前知り合いの大学で定年直前の教授の学生がなんとか教授の定年前に博士論文を通そうとしてこっぴどく難癖がついたことはあるそうです。しかも博士論文のウエスタンの図ではあったノンスペバンドが投稿論文の図では無くなっていたことが発覚したりもして結構問題になったようです。結局は通ったようですが。 米国では博士論文発表会は「ディフェンス」と表現されていたと思います。審査員は発表後に、できる限り鋭く発表者の知識を試すような質問をし、発表者はそれに耐えながら質疑応答することが求められるからだと思います。でも私がいた2年間でラボの学生でディフェンスに耐えられなかった学生はいませんでした。米国でも発表会まで進めば失敗する学生は結局あまりいないような気もします。 ■
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by stemcell
| 2010-01-04 21:20
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