今日職場に、行政法人未来工学研究所(たしかこんな名前だったような)なるところからアンケート用紙が送られてきました。なんでも、今後の日本の科学技術の発展のための政策における基礎データにするから、ご自分の研究分野で今後日本発の(これがポイントだそうです)独創的な研究を行う組織を作った場合、そのリーダーとしてふさわしいと思える30代から40代の若手研究者を具体的に教えてほしい、とこんなような内容でした。おそらく京大でのiPS細胞研究を受けて、このようなアンケートが来たものと思います。
このアンケートが私に来るという事は、私はその候補では無いという事か、とがっかりしましたが、ひょっとすると誰かが私の名前を挙げるかもしらん、と思いなおし、さて誰がいるかな?と考えましたが、これはと言う人が思い浮かばないことに少し驚きました。 しかしよく考えるとこれは当たり前のように思えます。1)少なくとも私の分野では国内で行われたかどうかに限らずいくつかの独創的と思える研究は他の多くの(海外発のものを含めた)研究成果の上に成り立つものがほとんどなので、どこどこの国の研究、とはいいずらい、2)そもそもほとんどの30代40代前半の研究者は所属する研究室のテーマに関連する研究以外の研究を行う事はできない(できていない)ので、その若手研究者だけの成果とは評価できない、というのが理由と思います。 しょうがないので知り合いの若くして独立した研究者を適当に上げました。現時点でそれほど、日本を代表するような研究をしている、というわけではありませんが、少なくともできうる立場にいる、ということで上げました。 日本発の独創的な研究を増やすには、既存の研究組織を大きくするのではなく、比較的小さくてもいいから若手が独立して運営できる組織を増やすべきと思います(山中さんもそうであったのではないかと思います)。そこで一定の成果が出たら、その組織を大きくすればいいのです。それほど名前が知られていない研究者でも、小さな組織をもち、その自覚のもとにテーマを設定すれば独創的な研究を立ち上げうると思います。今のように若手がボスの影響下でテーマを設定している限り、真に独創的な研究は立ち上がるべくもないでしょう。 研究成果がでるかどうかは賭けのようなところもありますので、ある程度、”下手な鉄砲打ち”でいいのではないか思います。すくなくとも私を含めた30代の研究者のほとんどは、独創的と思える研究を立ち上げることすらできない(もしくはその気が起こらない)研究環境にいるのが現状なのです。
by stemcell
| 2008-01-15 21:20
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