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遺伝学的手法

修士を今年修了した学生が今日研究室を去りました。大部分の人は明日研修先のホテルに行くようです。また会えるとはいえ別れは寂しいものです。

そのうちの一人の学生は私と一緒に部分的に研究をしました。ある遺伝子の発現を指標に、特定の環境適応応答がおかしくなっている変異体の単離を進めました。変異体が取れてその変異遺伝子が特定できれば、その遺伝子はその環境適応に重要な役割を果たすことがわかる、というものです。彼と共同でいくつかの変異体を単離することができました。今後その原因遺伝子を見つける予定です。時間がかかりますが大きな仕事になりそうです。

このように特定の表現型を指標に原因遺伝子を見つけることを順遺伝学と呼びます。これに対して、ゲノム塩基配列情報を基に遺伝子を特定し、その変異体を作成することを逆遺伝学と呼びます。今は様々な生物のゲノム塩基配列が決まってきておりかつ手っ取り早く実験に取りかかれるため、遺伝子研究では逆遺伝学的手法が主流となってきています。しかし特定の表現型を司る遺伝子機能を知るためにはまだまだ順遺伝学的手法は重要です。

ある研究分野の第一人者になるには順遺伝学的手法で新しい遺伝子を特定することは重要と思われます。そのような実験で取られた遺伝子はその人のもの、という感覚が研究者コミュニティーの中で形成されるからです。その点で特に若い研究者は順遺伝学的研究手法をある程度取り入れる必要があるように思います。なにか面白い遺伝子に行き当たるとよいのですが。
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by stemcell | 2009-03-30 23:16
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