<   2014年 10月 ( 2 )   > この月の画像一覧

論文数減少時代の博士

前回の続き。博士をとった後、アカデミックで研究を続けるには大学の教員になることが多いでしょう。この大学の教員のポストですが、優秀な人が獲得するかといえば必ずしもそうではありません。特に若手の助教(昔の助手)のポストを得られるかどうかは、多くの場合、はっきり言って本人の能力よりも運でしょう。私を含め、たまたまポストを得られたにすぎない。これは今も昔も変わらないと思われます。もちろんその後准教授、教授となるにはある程度能力や実績が必要となりますが、それはまわりとの相対的な評価に基づいたものにならざるを得ません。

ポイントは、日本において、この最初のアカデミックポストを得られるかが多分に運に左右されている点です。これは今後、博士取得者の論文作成能力が全体的に落ちたとしてもかわらないでしょう。すると、たまたまポストを得られた人の、その後のポストの獲得は、たまたまポストを得られた人との相対評価に基づくことになるので、日本の大学教員の論文作成レベルは下がる一方となりかねませんね。

ということは、日本発の論文数の減少に歯止めをかけるには、博士取得者、すなわち博士進学者の全体的なレベルを上げるか、若手のポスト獲得を能力に基づいたものにするしかないのでは?と思われます。若い博士取得者が活き活きとと研究している姿を、若い大学院生にいかに見せられるかが重要と思います。





[PR]
by stemcell | 2014-10-25 09:36

日本発の論文数減少

ノーベル賞、今年も日本人、受賞しましたね。物理学賞ですが。めでたいことです。今年度は青色LEDでの受賞。もろお金に直結する応用研究でノーベル賞でしたが、今後も応用研究でもらえるかというとそうでもないでしょう。青色LED発明のインパクトは別格と思います。

今回のノーベル賞を受けて、今の日本の科学研究の状況を憂いている記事が目につきます。「ノーベル賞は過去の遺産に過ぎない。今の日本の研究レベルを表すものではなく、今後も受賞が続くかは疑問だ」、というものです。確かに今、日本発の論文数が減少しているのは確からしく、このままでは日本の科学研究は危機に陥る、という記事が多い。まあ論文数だけで考えるのは無理があるとも思いますが、一理あるのかもしれません。

多くの記事では、論文数の減少は昨今における大学教員の雑務の多さに起因しており、その雑務のせいで論文を書く時間がないのだ、とあります。しかしそうですかね。。そもそも昔の教員ってそんなに自分で論文を書いていたんでしょうか?少なくとも私が学生のころは既にラボヘッドは自分でほとんど論文を書いていなかったと思います。もちろんポスドクや学生が初稿を書けば修正はしていましたが、それは今でも同じでしょう。ということは結局、今の学生やポスドクが、昔の人ほど論文を書かなく(書けなく)なったのが主な原因と私は思います。博士課程を出ていても、自分で論文をまとめきる研究能力と英語能力が身についていない博士が多いのかもしれません。

ではなぜそうなったのか。一言でいえば優秀な人が博士課程に進まなくなっているのでしょうね。論文を書けない博士の苦労を見ているから優秀な学生ほど就職を選択し、博士課程に進まない、ということであればまさに負のスパイラル。どっちにしても日本のサイエンスにとって明るいことではないですね。




[PR]
by stemcell | 2014-10-23 20:11